改革開放が始まるまでは原子力や宇宙分野などの技術開発に取り組んだ。

それゆえ主要国は核心的技術 の獲得に向けたイノベーションシステムの構築に心血を注いでいる。
AI、ロボット、無人機、3Dプリンター、脳波で機械などを動かすブレイン・マシン・インターフェースといった核心的技術は、新しい産業構造を支える基盤であり、国家の安全保障においても重要な影響を与える技術群といえる。
最先端技術で技術的優越の確保を明確に重要視してきたのが米国だ。
第2次世界大戦の直後は、航空、レーダー、暗号解読、原爆開発の成功で世界をリードした。
ところが1957年にソ連が人類初の人工衛星スプートニク1号を打ち上げ、技術分野でライバルに先を越されてしまった。
その上、自分達の手の届かない上空から敵に見下ろされるという恐怖は、最先端技術で競争相手国に敗れることが直接 の脅威につながるということを実感させた。
スプートニク・ショックを2度と繰り返してはならないとアイゼンハワー大統領が58年に設立したのが国防高等研究計画局だ。
ここから誕生した技術がインターネットや全地球測位システムなどで、いずれも世の中の常識をひっくり返す斬新なゲームチェンジャーだった。
米国は現在、次のゲームチェンジャーとなりうる最先端技術の研究開発で、敵の軍事的優位を相殺することを目的とした第3のオフセット戦略を展開している。
戦略のキーワードは外部の技術やアイデアを研究開発に生かすオープンイノベーションだ。
情報通信技術などの民生技術を安全保障にも使うスピンオンへのシフトを意味している。
一方、中国も建国当初から核心的技術の開 発に力を入れ、改革開放が始まるまでは原子力や宇宙分野などの技術開発に取り組んだ。